食事で男女産み分けはできるのか?
「食べるものによって、男の子・女の子が生まれやすくなる」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。実際に、母親の食事や栄養状態と赤ちゃんの性別との関係を調べた研究はあります。では、特定の食品や栄養素を摂ることで、本当に男女を産み分けることはできるのでしょうか。この記事では、食事と赤ちゃんの性別について、現在の医学研究で分かっていることを分かりやすく解説します。
「食べるものによって、男の子・女の子が生まれやすくなる」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。実際に、母親の食事や栄養状態と赤ちゃんの性別との関係を調べた研究はあります。では、特定の食品や栄養素を摂ることで、本当に男女を産み分けることはできるのでしょうか。この記事では、食事と赤ちゃんの性別について、現在の医学研究で分かっていることを分かりやすく解説します。

「男の子が欲しいならカリウムやナトリウムを多く摂る」「女の子が欲しいならカルシウムやマグネシウムを多く摂る」。
男女産み分けについて調べると、このような食事法を目にすることがあります。
では、食べるものを変えることで、本当に赤ちゃんの性別に影響を与えることができるのでしょうか。
食事と赤ちゃんの性別については、実際にいくつかの研究が行われています。しかし、現在の医学では、特定の食事によって希望する性別を選べることは確認されていません。
今回は、研究で分かっていることを中心に解説します。
母親の食事や栄養状態と、生まれてくる子どもの性別との関係については、これまで研究が行われてきました。
妊娠前のエネルギー摂取量のほか、カリウムやカルシウムなどの栄養素に着目した研究もあります。
ただし、ここで注意したいのは、「食事と性別に関連が見つかった」ということと、「食事によって性別を選べる」ということは同じではないという点です。
2008年に英国で発表された研究では、初めて妊娠した女性740人を対象に、妊娠前の食事と出生した子どもの性別との関係が調べられました。
その結果、妊娠前のエネルギー摂取量が最も多かったグループでは56%、最も少なかったグループでは45%が男児だったという関連が報告されました。
この研究では、いくつかの栄養素と出生児の性別との関連も報告されています。
しかし、この研究は食事と性別との「関連」を調べた観察研究です。
「エネルギーを多く摂れば男の子が生まれやすくなる」といった因果関係が証明されたわけではありません。
母体の栄養状態と出生児の性別については、別の条件でも研究されています。
その一つが、1944~1945年にオランダで起きた深刻な飢餓の影響を調べた研究です。
この研究では、深刻な低栄養にさらされた場合に女児の出生が増えるという仮説を支持する結果は得られませんでした。
つまり、母体の栄養状態と赤ちゃんの性別との関係については研究されていますが、結果は一貫していません。
男女産み分けでは、男の子を希望する場合にはカリウムやナトリウム、女の子を希望する場合にはカルシウムやマグネシウムを多く摂る、といった方法が紹介されることがあります。
しかし現在の医学では、こうした食事によって自然妊娠で希望する性別になる確率を確実に高められることは確認されていません。
米国生殖医学会(ASRM)も、通常の食事内容の違いが出生児の性別に影響することを示すエビデンスは乏しいとしています。
そのため、特定の食品や栄養素を摂れば男児または女児を選べる、と医学的に断定することはできません。
男女産み分けとは別に、妊娠前から栄養バランスの取れた食生活を心がけることは重要です。
例えば葉酸については、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するため、妊娠を希望する女性への摂取が推奨されています。
しかし、葉酸をはじめとする特定の栄養素を摂取することと、赤ちゃんの性別を選ぶことは別の問題です。
「妊娠や健康のために必要な栄養」と「男女産み分けを目的とした食事」は、分けて考える必要があります。
現在までに、食事と出生児の性別との関連を報告した研究はあります。
一方で、その結果は一貫しておらず、特定の食品や栄養素を摂取することで、自然妊娠において希望する性別になる確率を確実に高められるという十分な科学的根拠は確立されていません。
健康的な食生活は妊娠前の健康管理にとって重要ですが、それによって希望する性別を選べることが確認されているわけではありません。
食事と男女産み分けについては、「研究で関連が報告されたこと」と「実際に産み分けができること」を分けて理解することが大切です。