日本で男女産み分けはどこまでできる?
「日本では男女産み分けはどこまでできる?」「海外なら希望する性別を選べる?」と疑問に思う人もいるかもしれません。現在の生殖医療では、体外受精と着床前遺伝学的検査(PGT)によって、胚の性染色体に関する情報を得られる場合があります。しかし、その情報を性別選択に利用できるかどうかは、国や地域によって異なります。この記事では、日本で行われている男女産み分けの方法やPGTの取り扱い、米国・英国・カナダとの違いについて分かりやすく解説します。
「日本では男女産み分けはどこまでできる?」「海外なら希望する性別を選べる?」と疑問に思う人もいるかもしれません。現在の生殖医療では、体外受精と着床前遺伝学的検査(PGT)によって、胚の性染色体に関する情報を得られる場合があります。しかし、その情報を性別選択に利用できるかどうかは、国や地域によって異なります。この記事では、日本で行われている男女産み分けの方法やPGTの取り扱い、米国・英国・カナダとの違いについて分かりやすく解説します。

「日本で赤ちゃんの性別を選ぶことはできる?」「海外なら希望する性別の胚を移植できる?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
男女産み分けには、排卵日と性交のタイミングを調整する方法や産み分けゼリー、食事・サプリメントなど、さまざまな方法が紹介されています。
しかし、こうした自然妊娠で行われる方法によって、希望する性別になる確率を確実に高められるという十分で一貫した科学的根拠は確立されていません。
一方、現在の生殖医療では、体外受精で得られた胚に着床前遺伝学的検査(PGT)を行うことで、検査の種類や方法によっては性染色体に関する情報が得られる場合があります。
ただし、技術的に性染色体について調べられることと、希望する性別の胚を自由に選択できることは別の問題です。
日本と海外では、その取り扱いにも大きな違いがあります。
日本では、男女産み分けについて調べると、排卵日と性交のタイミングを調整する方法や産み分けゼリー、食事、サプリメントなど、さまざまな方法が紹介されています。
例えば、「排卵日に近い性交では男児が生まれやすい」「排卵日の数日前では女児が生まれやすい」という考え方は、シェトルズ法として広く知られています。
しかし、性交のタイミングによって希望する性別を実用的に選べることを示す十分な科学的根拠は確立されていません。
産み分けゼリーや食事、サプリメントについても、自然妊娠で希望する性別になる確率を確実に高められることは確認されていません。
「方法として紹介されていること」と「医学的に有効性が確立されていること」は分けて考える必要があります。
一般的な人工授精や体外受精だけで、希望する性別を選択できるわけではありません。
人工授精などで行われる精子の洗浄・調整は、良好な運動性を持つ精子を回収することなどを目的として行われます。
通常の方法で、X染色体を持つ精子とY染色体を持つ精子を確実に分けるものではありません。
体外受精や顕微授精でも同様です。
通常の顕微鏡観察だけで、1個の精子がX染色体を持っているのか、Y染色体を持っているのかを確実に判別することはできません。
そのため、一般的な人工授精や体外受精そのものを「男女産み分けの方法」と考えるのは正確ではありません。
体外受精と組み合わせて行われることがある検査に、着床前遺伝学的検査(PGT)があります。
PGTは、体外受精によって得られた胚について、子宮へ移植する前に遺伝学的な検査を行う技術です。
PGTには、染色体数の異常を調べるPGT-A、特定の単一遺伝子疾患を対象とするPGT-M、染色体の構造異常に関連するPGT-SRなどがあります。
検査の種類や方法によっては、胚のX染色体やY染色体に関する情報が得られることがあります。
しかし、「性染色体について分かること」と「その情報を使って希望する性別の胚を選べること」は同じではありません。
日本ではPGTが実施されていますが、日本産科婦人科学会の見解や細則などに基づいて運用されています。
PGT-AやPGT-SRには、それぞれ検査を実施する目的や対象が定められています。
そのため、「男の子が欲しい」「女の子が欲しい」といった非医学的な希望だけを目的として、PGTを利用して希望する性別の胚を選択することは、日本で一般的に行われているPGTの目的とは異なります。
体外受精やPGTという技術が日本に存在することと、希望する性別を自由に選択できることは分けて理解する必要があります。
性染色体に関する情報が医学的に重要となる場合があります。
代表的なのが、一部のX連鎖性遺伝性疾患です。
特定の遺伝性疾患では、性染色体と疾患の発症リスクが関係するため、生殖医療において胚の遺伝学的情報を調べることがあります。
PGT-Mは、特定の遺伝性疾患を対象として行われる着床前遺伝学的検査です。
ただし、これは家族の希望に合わせて男児または女児を選ぶことを目的としたものではありません。
医学的理由によるPGTと、非医学的な希望による性別選択は分けて考える必要があります。
米国では、体外受精とPGT-Aを利用した非医学的な性別選択を提供する医療機関があります。
米国生殖医学会(ASRM)も、PGT-Aによって胚の性別に関する情報が得られ、その情報が胚移植の選択に利用される場合があることを前提に、倫理的な問題について見解を示しています。
一方、ASRMは、非医学的な性別選択は倫理的に議論のある行為であり、積極的に推奨すべきではないとしています。
また、すべての生殖医療施設が性別選択を提供しているわけではありません。
各医療機関が独自の方針を定めているため、米国であれば必ず希望する性別を選べるというわけではありません。
英国では、非医学的な理由による性別選択は禁止されています。
英国の生殖医療を規制するHFEAは、重篤な遺伝性疾患を回避する場合などを除き、非医学的な理由で子どもの性別を選択することは法律で認められていないとしています。
そのため、家族構成の希望などを理由として、英国の認可された生殖医療施設で希望する性別の胚を選択することはできません。
カナダでも、非医学的な性別選択には法律上の制限があります。
カナダの「Assisted Human Reproduction Act」では、人を出生させる目的で、特定の性別の胚となる可能性を高める処置や、体外胚の性別を特定することを原則として禁止しています。
例外として認められているのは、性染色体に関連する疾患の予防、診断または治療を目的とする場合です。
そのため、単に「男の子が欲しい」「女の子が欲しい」という希望を理由とした性別選択は認められていません。
このように、海外であればどの国でも自由に男女産み分けができるわけではありません。
性別選択が提供されている国や医療機関で治療を受けたとしても、希望する性別の赤ちゃんを必ず出産できるわけではありません。
体外受精では、採取した卵子がすべて成熟するとは限らず、成熟した卵子がすべて受精するわけでもありません。
受精した胚がすべて検査可能な胚盤胞まで発育するとも限りません。
さらに、希望する性染色体を持つ胚が得られたとしても、その胚が移植に適しているとは限りません。
移植した場合も、必ず着床するわけではなく、妊娠に至らない場合や流産となる場合があります。
PGTによって胚の性染色体に関する情報を得られることと、希望する性別の赤ちゃんを必ず出産できることは別の問題です。
海外で体外受精やPGTによる性別選択を検討する場合には、まず、その国や地域で非医学的な性別選択が認められているのかを確認することが重要です。
さらに、利用する医療機関や検査機関の資格・認可、PGTの検査内容、モザイク胚や判定不能胚の取り扱い、希望する性染色体を持つ胚が得られなかった場合の対応についても確認する必要があります。
再採卵や再検査に必要な費用、胚や検体の国際輸送、胚の保管方法、帰国後の妊娠管理なども事前に確認しておくことが重要です。
国境を越えた生殖医療では、治療を受ける国と帰国後に診療を受ける国が異なることがあります。そのため、医療制度や法律、治療後のフォロー体制についても確認しておく必要があります。
男女産み分けについては、「日本ではできない、海外ならできる」と単純に分けることはできません。
自然妊娠で行われるタイミング法や産み分けゼリー、食事、サプリメントについては、希望する性別になる確率を確実に高められるという十分で一貫した科学的根拠は確立されていません。
一方、体外受精とPGTを組み合わせることで、胚の性染色体に関する情報を得ることは技術的に可能な場合があります。
ただし、その情報を非医学的な性別選択に利用できるかどうかは、国や地域の法律、専門学会のルール、医療機関の方針などによって異なります。
米国の一部の医療機関では非医学的な性別選択が提供されている一方、英国やカナダでは法律上の制限があります。日本でもPGTは一定のルールのもとで実施されています。
男女産み分けについて考える際には、「技術的にできること」と「医学的・制度的に認められていること」を分けて理解することが重要です。