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性交体位やオーガズムで男女産み分けはできる?

「深い位置で射精すると男の子」「浅い位置なら女の子」「女性が先にオーガズムを感じると男の子が生まれやすい」といった産み分け説を目にすることがあります。しかし、こうした方法で赤ちゃんの性別を実用的に選べることは、現在の医学では確認されていません。この記事では、性交体位、射精する位置、オーガズム、腟内pH、排卵日のタイミングと男女産み分けの関係について、研究結果をもとに分かりやすく整理します。

基礎知識

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よくある産み分け説を医学的に検証

「深い位置で射精すると男の子」「浅い位置なら女の子」「女性が先にオーガズムを感じると男の子が生まれやすい」といった産み分け方法を目にすることがあります。

こうした方法の多くは、X染色体を持つ精子とY染色体を持つ精子には、泳ぐ速さや寿命、酸性・アルカリ性への強さなどに大きな違いがあるという考えを前提としています。

しかし、現在の研究では、性交体位や射精する位置、女性のオーガズムなどを利用して、希望する性別の赤ちゃんが生まれる確率を実用的に高められることは確認されていません。

研究自体が十分に行われていない方法も多いため、「絶対に効果がない」と証明されたというより、「産み分け方法として有効だと確認されていない」と考えるのが適切です。

「Y精子は速く、X精子は長生きする」は本当?

よくある産み分け説の背景には、「Y染色体を持つ精子は小さくて速いが寿命が短く、X染色体を持つ精子は遅いが長く生きる」という考え方があります。

この考え方は、性交のタイミングや体位による産み分け方法を説明する際に長く使われてきました。

しかし、現在までに行われた研究をまとめたレビューでは、X精子とY精子について、形や大きさ、運動性、泳ぎ方、寿命、pHへの反応などに、産み分けへ利用できるほど明確で一貫した違いは確認されていません。

確実に知られている違いの一つはDNA量です。

ヒトではX染色体を持つ精子の方が、Y染色体を持つ精子よりDNA量が約3%多いことが知られています。

このDNA量の違いは精子を識別する研究などに利用されてきましたが、「Y精子は速い」「X精子は長生きする」という一般的な説明をそのまま証明するものではありません。

深い位置で射精すると男の子になる?

男の子を希望する場合には、子宮頸部に近い場所で射精するために、深く挿入できる体位がよいと説明されることがあります。

その理由として、「Y精子は速いため、卵子までの距離を短くすると有利になる」といわれます。

反対に、女の子を希望する場合には浅い位置で射精し、長く生存するとされるX精子を残すという説明がされることがあります。

しかし、この説明の前提となる「Y精子の方が速い」という特徴自体が、人間で一貫して確認されているわけではありません。

射精された精子は、腟から子宮頸管、子宮、卵管へと移動します。

そして、射精位置によって、X精子またはY精子のどちらが受精するかを実用的にコントロールできることは確認されていません。

そのため、挿入の深さや射精する位置によって、希望する性染色体を持つ精子だけを有利にして出生児の性別を選べるという医学的根拠はありません。

性交体位による産み分けは研究されている?

性交体位によって出生児の性別が変わるかについて、信頼性の高い臨床研究は非常に限られています。

特定の体位を使用した集団と使用しなかった集団を適切に比較し、その後に生まれた子どもの性別まで追跡した質の高い研究はほとんどありません。

過去の医学文献でも、深い挿入や女性のオーガズム、アルカリ性の腟洗浄などを組み合わせた方法が紹介されてきましたが、結果には一貫性がなく、十分な対照試験も行われていないことが指摘されています。

したがって、「体位による産み分け効果が医学的に否定された」というより、「効果を裏づける十分な証拠がない」という表現がより正確です。

女性がオーガズムを感じると男の子になる?

もう一つよく知られているのが、「女性が男性より先にオーガズムを感じると男の子が生まれやすい」という説です。

オーガズムによって女性生殖器内の環境が変化し、Y精子が有利になるという説明がされることがあります。

しかし、女性のオーガズムによってX精子とY精子の一方が選択的に有利になり、出生児の男女比を変えることは証明されていません。

1997年には、69人の女性を対象に、体型や性的行動と出生児の男女比との関係を調べた観察研究が報告されています。

この研究では、複数回のオーガズムを経験しやすいと回答した女性に男児が多いという関連が報告されました。

ただし、対象者は69人と少なく、本人の申告に基づく観察研究です。

また、「赤ちゃんを妊娠した性交で女性が先にオーガズムを経験したか」を調べた研究ではありません。

したがって、この研究から「女性が先にオーガズムを感じれば男の子になる」と結論づけることはできません。

オーガズムの順番で性別を選ぶことはできない

仮に観察研究でオーガズムと出生男女比との関連が見つかったとしても、それだけでは原因と結果を証明できません。

年齢、ホルモン、性交頻度、妊娠回数、生活習慣など、別の要因が同時に関係している可能性があります。

また、同じ結果が別の集団でも繰り返し確認されることも重要です。

現在のところ、女性が先にオーガズムを感じることや、オーガズムの有無・回数を調整することによって、希望する性別になる確率を実用的に高められるという医学的根拠はありません。

腟内をアルカリ性にすると男の子になる?

「Y精子はアルカリ性に強く、X精子は酸性に強い」という説明から、腟内のpHを変えることで産み分けができるという方法も紹介されています。

しかし、この考え方についても十分な根拠はありません。

1971年には、人の精子を異なるpHの培地で移動させる実験が行われましたが、小さなpH変化によってX精子とY精子の割合が変化することは確認されませんでした。

近年のX精子とY精子に関するレビューでも、pHに対する反応に、自然な産み分けへ利用できるほど確立した違いがあるとはされていません。

実験室で精子に何らかの違いが観察された場合でも、それが実際の性交から受精、妊娠、出産まで同じように作用するとは限りません。

産み分け目的の腟洗浄には注意が必要

性別を変えることを目的として、腟内を酸性またはアルカリ性にしようとする方法もあります。

しかし、産み分け目的で自己判断による腟洗浄を行うことは勧められません。

腟内には乳酸菌をはじめとする細菌が存在し、正常な環境を維持しています。

米国産婦人科学会(ACOG)は、腟洗浄によって正常な細菌のバランスが乱れる可能性があるため、腟洗浄を推奨していません。

米国疾病予防管理センター(CDC)も、腟洗浄が細菌性腟症などと関連することを説明しています。

そのため、産み分けを目的として重曹や酢、洗浄剤などを自己判断で腟内に使用することは避けるべきです。

排卵日のタイミングと組み合わせれば効果はある?

体位やオーガズムの方法と組み合わせて、「男の子なら排卵日当日」「女の子なら排卵日の数日前」とする方法も広く知られています。

この方法も、Y精子は速いが寿命が短く、X精子は遅いが長く生きるという仮説を前提としています。

しかし、性交時期と出生児の性別の関係についても、産み分けに利用できるほど一貫した結果は得られていません。

1995年にNew England Journal of Medicineに発表された前向き研究では、健康な女性を妊娠前から追跡し、排卵日と性交日の関係が詳しく調べられました。

その結果、性交のタイミングは妊娠が成立する確率には大きく関係していましたが、男児が生まれた周期と女児が生まれた周期で性交時期のパターンはほぼ同じでした。

研究者は、実用上、排卵日に対する性交のタイミングは赤ちゃんの性別に影響しないと結論づけています。

過去には異なる研究結果もあった

性交のタイミングについては、それ以前の研究で男女比との関連が報告されたこともあります。

しかし、研究によって関連する方向が異なり、「排卵日に近ければ男児」という仮説と逆の結果を示した研究もあります。

1991年に複数研究をまとめた解析でも、排卵日前後の性交によって希望する性別を確実に選べることは支持されませんでした。

このため、体位、オーガズム、射精位置、排卵日のタイミングなどを組み合わせても、希望する性別になる確率を確実に高められるという医学的根拠はありません。

性交方法を産み分けのために変える必要はない

現在の研究では、「深く挿入すれば男の子」「浅くすれば女の子」「女性が先にオーガズムを感じれば男の子」といった方法を、科学的に確立した産み分け方法と考えることはできません。

こうした説の多くは、X精子とY精子には大きな速度差や寿命の差があるという仮説から生まれています。

しかし、現在の研究では、自然な性交で希望する性染色体を持つ精子だけを有利にできるほど明確な違いは確認されていません。

また、産み分けを意識することで「この体位でなければならない」「女性が先にオーガズムを感じなければならない」と性交自体が負担になることもあります。

オーガズムの有無やタイミングには個人差があり、それを性別のためにコントロールする必要はありません。

妊娠を希望する場合には、産み分けを目的として性交方法を変えるよりも、妊娠しやすい時期に無理なく性交の機会を持つことが現実的です。

現在の医学から最も慎重にいえるのは、性交体位、射精する位置、女性のオーガズム、腟内pHなどによって、自然妊娠で赤ちゃんの性別を実用的に選べることは確認されていない、ということです。

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